面白い物語の作り方①|ログライン・テーマ・キャラ・結末

物語を書く
物語を書く(Photo: Unsplash)

漫画家を目指して短編を描いていた頃、私は絵にばかり集中していて、ストーリーの重要性に気づくのが遅れました。どうすれば漫画や映画のように面白い話を作れるのか——そこから、絵の勉強に加えてシナリオの作り方を学び始めました。その勉強のおかげで青年漫画誌の新人賞をいくつかいただき、担当編集がついて漫画家を目指す日々を過ごしました。その後デザイナー・イラストレーターとしてゲーム業界に入りましたが、あのとき学んだことは今も自分の仕事を大きく支えています。ここからは、私が本や映像から学んできた「物語の作り方」を共有していきます。

ログライン(=プレミス)を決める

シナリオには「ログライン(プレミス)」という言葉があります。作品の面白さを一行で表す、あらすじ(シノプシス)よりもさらに簡潔な表現です。

たとえばワンピースなら「海賊王になるために仲間と苦難を乗り越えるルフィの冒険」。鋼の錬金術師なら「体を取り戻すためのエルリック兄弟の冒険」。鬼滅の刃なら「鬼にされた妹を人間に戻すために戦う炭治郎の話」くらいに言えます。このログラインをはっきりさせると、自分がどんな話を書き、どんな面白さを届けるのかが具体化します。ワンピースのログラインからは「仲間」「悪党」「冒険」というキーワードが立ち上がり、だからこそルフィは仲間を集め、悪党と戦う冒険を続けることになるのです。まず一行を決める。ここがすべての出発点です。

メインテーマが必要

ただし、ログラインだけでは一次的な面白さしか伝わりません。もっと深い話にするために必要なのが「メインテーマ」です。

ワンピースのメインテーマは、私は「自由」だと考えています。作中の悪役はたいてい島や国を「支配」していて、ルフィ一行は自由を抑圧する悪を倒し、人々を解放していく。だからテーマが一貫します。鋼の錬金術師なら「結果がいくら良くても、その過程が正しくなければならない」。エルリック兄弟は体を取り戻せる賢者の石を、何度も機会がありながら使いません。過ちと向き合って正しい道を歩む者と、野望のために邪道を行く者。その対比でテーマを最後まで貫くからこそ、名作と呼ばれるのだと思います。テーマは、物語がぶれないための背骨です。

真の面白さはキャラクターから出てくる

斬新な世界観でなくても面白い作品は山ほどあります。ではその面白さはどこから来るのか。私は「キャラクター」から生まれると考えています。

近年の大ヒット、マーベル映画を思い出してください。1作目はほぼ必ず主人公の誕生譚で、しかも流れは驚くほど似ています。どん底にいる主人公が、あるきっかけで力と動機を得て、葛藤を乗り越え、最後にボスと戦って勝つ。構造はほぼ同じです。それでも私たちが別の映画だと感じるのは、キャラクターが違うからです。傲慢な億万長者からヒーローになったスターク、弱虫から正義に目覚めたスティーブ、追放されて人を思いやる心を得たソー。同じ骨格でも、載っているキャラが違えばまったく別の面白さになる。物語の面白さは、最後はキャラクターに宿ります。

結末が名作と駄作を分ける

名作と駄作を分けるのは、実は最終話だと私は思っています。ここは本当に作家の力量が出るところです。

初心者のうちは、壮大な結末を狙うより、自分が今書ける範囲で締めることをおすすめします。継母や姉にいじめられたシンデレラが妖精に出会い王子と結婚してハッピーエンド、誠実なカメがウサギに勝つ——このくらいシンプルで明確なエンディングのほうが、まず失敗しません。悲劇的な結末は、読者を納得させるのが本当に難しい。どうしても悲劇を書きたいなら、数をこなして力をつけるしかありません。締め方は、普段どれだけ物語を考えてきたかがそのまま出ます。

物語の骨格をつくる4つの要素
物語の骨格をつくる4つの要素

まとめ

文章を書くこと自体は簡単ですが、毎日書き続けるのは難しいものです。それでも、粘り強く取り組めば誰でも書けるようになります。文才は絵と同じで、才能ではなく努力だと私は思っています。多作・多読——読んで、書いて、考えて、その考えを人と共有する。それ以上に自分の世界を広げる方法はありません。物語の骨格は、ログライン・メインテーマ・キャラクター・結末の4つ。まずはこの4つを意識するところから始めてみてください。

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