面白い物語の作り方③|長編の作り方と「原因・過程・結果」

プロットを組み立てる
プロットを組み立てる(Photo: Unsplash)

ここまで物語を作るための基本要素を見てきました。今回はいよいよ長編ストーリーの作り方です。ただ、その前に必ず決めておきたいことがあります。それが「前提条件」の設定です。ここが甘いと、長編はあっという間に迷子になります。

まず「前提条件」を決める(5W1H)

簡単な例で考えます。「落ち武者が自分の息子を探す話」を作るとしましょう。この作品の背景を、5W1H(六何の原則)で整理してみます。いつ=戦国時代、どこで=関ヶ原、誰が=明智光秀の軍団、何を=落ち武者狩りと戦う、どのように=ボロボロの刀を持って逃げながら、なぜ=生き延びて家族に会うために。

これだけ決めておくと、物語の土台がぶれません。前提条件は、できるだけ簡潔に読者へ説明するのがコツです。一見「簡単すぎない?」と思うかもしれませんが、この前提をきちんと決められるかどうかが、後の展開を大きく左右します。

ダメな始まりの例

前提が貧弱な物語は、たいていこう始まります。「帝国歴1825年。皇帝イグリナスとその大敵カナトゥスの戦争が終わって100年、大将軍オクトニシウスと手下アルカチオンは暗い部屋で……」。どこかで見たような始まりだと思いませんか。「見知らぬ〇〇だ」「〇〇歴xxxx年」「〇〇戦争」「私の名前は〇〇、普通の〇〇生だ」——これらは、避けたい物語の入り方の典型です。

読者からすれば「帝国歴1825年? 皇帝イグリナス? 誰だよ」となってしまう。こうなる理由はただ一つ、前提条件をきちんと決めていないからです。設定を並べれば世界観が伝わると思いがちですが、読者が知らない固有名詞の羅列は、面白さではなく負担になります。

一番重要なのは物語の序盤

不要な情報にまみれた作品は、はっきり言って面白さがありません。読者は「面白さ」を求めて読み始めるのであって、「情報」を見に来ているわけではないからです。だから物語の序盤、とくに1〜2話では、不要な情報をそぎ落とすことを強く意識します。

自己満足ではなく、商品として作品を書くなら、プロローグと第1話にすべてを注ぐべきだと私は考えています。1話で読者の興味を引けなければ、その先を読んでもらえないからです。逆に言えば、前提条件さえ固まっていれば、そこから強い第1話を引き出せます。

5W1Hから第1話を作る

先ほどの「落ち武者が息子を探す話」で、第1話の候補を出してみましょう。「落ち武者になって国の家族のもとへ戻る冒険」「身を隠そうとしたが、主君の息子の影武者に自分の息子が使われていた」「息子が落ち武者狩り側になっていて侍を恨んでいた」——前提条件がしっかりしていれば、そこから様々な話を作り出せます。作家は、その中で最もインパクトのあるものを選べばよいのです。

私はここでは「身を隠そうとしたが、主君の息子の影武者に自分の息子が使われていた」という1話を選びます。第1話で強い引きを作るのは、実力も経験も、才能も運も要る難しい仕事です。それでも悩み続けて書けば、「これだ!」という答えが必ず出てきます。

「原因・過程・結果」を繰り返す

第1話が決まったら、そこから「原因・過程・結果」をつないで話を進めます。たとえば——原因「落ち武者狩りで、主君が自分の息子を影武者に使っていて危ない」→過程「主人公が怒る」→結果「息子を奪い返す決心をする」。次に、原因「落ち武者狩りから逃げる」→過程「友の助けで故郷へ向かうが負傷」→結果「山奥の民家で休む」。さらに、その民家が廃れた忍者の一族で、復讐を手伝ってくれる……というふうに、結果が次の原因になって話が前へ進みます。

この連鎖で物語が動くのは、各段で新しい情報を渡しているからです。作品が進む過程とは、結末に至るための必須情報を、一つずつ読者に提示していくことにほかなりません。だから作家の仕事は、不要な情報を削り、必須情報だけを順番に渡すことです。ただし注意点があります。展開は「原因・過程・結果」として辻褄が合っていなければなりません。復讐のために故郷へ帰ろうとする主人公が、突然きれいなくノ一に出会って恋に落ちる——では辻褄が合いません。蓋然性(もっともらしさ)を必ず考える。シンプルですが、つい忘れやすい要素です。

原因・過程・結果の連鎖
原因・過程・結果の連鎖

まとめ

長編は、前提条件を5W1Hで固め、序盤に全力を注ぎ、「原因・過程・結果」を辻褄を合わせながらつないでいく。各段では不要な情報を削り、結末に必要な情報だけを一つずつ渡す。そしてテーマがはっきりしていれば、物語は道を逸れず結末までまっすぐ進みます。読んで、書いて、考えて——これを繰り返すことが、創作の唯一の近道です。

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