面白い物語の作り方(ストーリーの組み立て方)vol.2

前回のまとめ

前回に作品の企画方法についてまとめて見ました 。

  1. ログライン
  2. メインテーマ
  3. 結末

これだけ覚えて活用すれば物語の骨を作ることができます。

しかし、物語の骨を作る事とそれを活用することは別の話になります。

ストーリーの骨を作ったとしても、話を進める方法がわからないと話を書けません。

それでは、人気作品を通じて物語を進める方法について考えてみましょう。

世の中には数多くのヒット作があるが、読者が一番分かり易いであろう少年ジャンプ漫画の大ヒット作の中で選定し、分析していこうと思います。

ワンピースのストーリー分析

ワンピースのログラインはとても簡単です。

「海賊王になるためのルフィの冒険」

ジャンルは少年漫画。

そうなるとすぐこう思うはずです。

「あ、主人公が仲間たちと一緒に冒険して海賊王になる話だね!」

すぐこう考えられますがこれだと大まかすぎます。

もう少し具体化してみましょう。

「海賊王とは何ですか?」

ワンピース作品序盤には海賊王が何なのかは詳しく出てこない。

ただゴールドロジャーが「私のすべてをそこに置いてきた」という言葉が出てくるだけ。

しかし、このセリフで読者たちはワンピースが何なのか、海賊王が何なのか推測することになります。

「海賊王は何か分からないけどすごい宝である「ワンピース」を得た世界最強の人だろうね!」

とても単純なテーマですが、これだけでも作品を連載することができます。

とても陳腐なストーリーをワンピースに当てはめると
とんでもない宝物を持つ悪党をルフィ一行が悪党を倒して宝物を得た後、最後の最後には「実際に最も貴重な宝物は仲間たちとの友情だった!」という……。

しかし、そうなったら「なんとゴミみたいな…」「最悪、夢オチと同じ!!」になります。

それで作家は海賊王をこう定義します。

(C)尾田栄一郎/集英社
ワンピース52巻抜粋

ルフィはいつも自由を追求するキャラクターです。

そしてワンピースのログラインは「ルフィの冒険記」。

ルフィを中心に流れるワンピースという作品に

ルフィが海賊王を「自由人」に定義しているので

ワンピースでの海賊王は「海で最も自由な人」と定義されます。

そうなると話のテーマが少し変わります。

「たくさんの宝物を得て海賊王になる話」から「海で最も自由な人になる話」に。

テーマが変わったので、物語の構造も変わらなければならない。

敵(悪党)は「莫大な宝を持つ悪党たち」から「海の自由を抑圧する悪党たち」にテーマに合わせて変更されます。

そしてそれがワンピースの主なストーリーの骨組みとなっています。

ワンピースの敵(悪党)を考えてみましょう。

ワポルはドラム王国を支配し、クロコダイルはアリバスタを、CP9は知識の自由を……

ワンピースのすべての悪役は何かを支配して抑圧しています。

ルフィ一行は敵(悪党)たちと戦い、自由を取り戻す内容になっています。

基本的なストーリーの骨組みは今まで記述した通りです。

それでは、ワンピースの最終ボスは誰になるのでしょうか?

それは分かりません。作家のみぞ知る世界です。

ですが大体予想はできます。

この海と歴史、すべてを支配する人が明らかなり、最終ボスになるでしょう。

ルフィは「海で最も自由な人」になるために自由を抑圧する悪党を一つ一つ潰して我が道を進むでしょう 。

ワンピースストーリー分析まとめ

  • ワンピースの基本骨組みは「海で最も自由な人になるためのルフィの冒険記」。
  • 各エピソードの敵(悪党)は海の自由を抑圧する存在。
  • 最終的にはすべての支配者からルフィが開放する(自由にする)結末。

ナルトのストーリー分析

ナルトは東洋よりも西洋で大きな人気を集めた作品です。

戦闘アクションが他の漫画よりもはるかにダイナミックなことでも人気を集めました。

これは作家様の絵の力量が素晴らしいという証拠でもあります。

しかし、一貫したテーマを維持するワンピースとは異なり、ナルトは過去のテーマ「努力、友情、勝利」から、「血統が至上主義」というテーマに変わったという評価を受けているのも事実かと思います。

その理由は何でしょうか?

ナルトのストーリーの基本骨組みを見てみましょう。

ナルトは火影になろうとしています。

その理由はなんでしょう?

ナルトは孤児で体の中には九尾が封印されたので、人々をナルトをさける、嫌がる。

ナルトは孤独な生活を送り、誰もナルトを認めていなかったです。

だからナルトの心の中には一つの欲望が生まれました。

「人々から認められたい」

そしてその欲望は待ちの忍者だれもが認める最強の忍者「火影」になる夢につながります。

では、ナルトという作品の基本骨組みは何でしょう?

「人々に認められるために火影になりたいナルトの一代記」と言えるでしょう。

では、火影とは?

それは作品序盤に話しています。

ⒸMasashi Kishimoto 2000 / © SHUEISHA Inc. All rights reserved.
ナルト1巻から抜粋

それなら読者はこう考えるようになります。

「じゃあナルトって作品はナルトが村一番の忍者になる話だな!」

そうです。

ナルトは確かにそんな作品でした。

ナルトが様々な仲間たちに出会い、努力を通じて火影になる話が基本骨組みでした。

だから中級忍者編まではナルトと仲間たちは数多くの苦難を乗り越え、努力を重ね、戦って強くなる話でした。

ですが、この単純なテーマでは話を長編に引っ張っていくことができなかったと思います。

おそらくそのまま進行されたら、サスケを救出して大蛇丸と戦って「私たちの戦いは続く!」というように終わったと自分では推測しています。

さらに、このような単純な展開で終わった駄作なのであれば
ナルトも今まで沢山あったバトル友情物に収まって読者の記憶から消し去られる最後を迎えたはずです。

だとすると駄作で終わらせず、長く連載を続けるための方法がたった一つだったと考えられます。

それが物語のテーマを変えることです!

だからナルトのテーマは新たに定義し始めます。

本来「人たちに認められるために火影になるナルトの物語」から「昔から続いて来た憎しみの連鎖を断ち切るナルトの物語」。

このテーマはナルト第2部で始まります。

1部の悪役と2部の悪役の違いを考えてみよう。

第1部の悪役は、ナルトを無視したり、邪魔したり、村を占領しようとする単純な悪役です。

しかし、2部の悪役は少し違います。

過去の戦争により大切な人を失った廃人、仲間を許せなかったオビト、強力な力で憎しみの連鎖を壊そうとしたマダラなど

第 2部の悪役は単なる悪役ではなく、「過ちによる憎しみ」を持つ悪役です。

こうした悪役たちのおかげで、ナルトは1部とは比較もできないほどドラマ的要素が強くなりました。

しかし、このようなテーマの変更によってナルトは1部のテーマを完全に失い、血統の争い漫画になってしまいました。

それはなぜでしょう?

すべての事は過去の 血縁、地縁、学縁 につながった戦いだからです。

ナルトストーリー分析まとめ

  • ナルトは1部と2部のテーマが変わった作品。
  • テーマが変わったため、長編連載およびドラマ的演出が強くなりましたが、
    第1部テーマを完全に捨てる結果になった。

まとめ

本当は作品分析はこんなに簡単に短くできる物ではございません。

本人が作品を読み深く考察し、自分だけの答えを導き出さなければなりません。

この分析も筆者が普段考えたごく一部であり、その一部すらきちんと書くことができなかったです。

そのほかにも分析できる作品はたくさんあります。「鬼滅の刃」や「チェンソーマン」,個人的に完璧なテーマ意識、演出、キャラだと思う「鋼の錬金術師」など……(もちろん小説や短編小説、映画なども)

簡単にまとめると

  • 作品で一番重要なのでメインテーマとストーリーの骨組みが重要
ジンマル

メインテーマの重要性を考えてみたので
これから長編ストーリーの組み方をまとめて見たいと思います!

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